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7月
08

私たち一家は東京で暮らしていましたが、父が、勤める会社の大阪支店に転勤になった時、一家を挙げて大阪に引っ越すということは全く考えず、父の単身赴任ということで決着しました。

今思えば、数年、大阪で暮らしてみるのも悪くなかったのではないかと少し残念です。

大阪での父の仕事は、もともとが小さな東京の会社の、大阪支店の支店長でした。

従業員は 父と、経理の女性が一人と、あとは使い走りのアルバイトの若い男性が一人、それだけの細々としたものでした。

この、アルバイト青年が実によく働く人だったそうです。

もともとは大阪駅の近くでアルバイトでたこ焼きを焼いていたそうですが、その店がつぶれ、仕事にあぶれていたときに 客のひとりであった父の会社の経理の女性に、ウチの会社で下働きの子を探しているが、来て見ないかと声をかけられ、父に紹介されたそうです。

会ってみると、気の利きそうな子だったので、父はアルバイトに雇うことに決めました。

客商売をしていただけあって、愛想がよく、気がきいて、父も、父に紹介した経理の人も、大変喜びました。

このアルバイト青年は、実は東京に出る事を夢見ていました。

大阪出身ではありましたが、それでも東京は憧れの地であったようです。

父が大阪支店長職を解かれて東京に戻る事が決まったとき、青年は思い切って父に自分の思いを打ち明けました。

青年の素質を認めていた父は、話を東京本社の人事部長に相談したところ、ちょうど東京本社でも若い人を求めているということで、とんとん拍子で青年の東京行きが決まりました。

それも 今度はアルバイトではなく 本採用です。

大阪のたこ焼き屋でのアルバイトから始まった、一人の青年の夢の実現でした。

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